湯種パンのレシピの多くは、湯種を作って一晩冷蔵庫で寝かせるものが多いですよね。
でも実際のところ一晩って何時間くらいがベストなのか、最低何時間寝かせないといけないのか、気になりますよね。
この記事では、湯種を寝かせる時間と寝かせる理由について解説します。
結局、何時間寝かせるのがベスト?
実は、湯種を寝かせる最適な時間というのは特に決まっていません。
強いて言えば、冷めれば使えるので一晩寝かせなくても良いんです。
じゃあ、なんで一晩寝かせるレシピが多いのでしょうか?
ここからは湯種を寝かせる理由について解説していきます。
湯種はなぜ寝かせる?

湯種を冷蔵庫で寝かせるのは、熱々のまま使うとイーストが死滅してしまうからです。
それでも一晩寝かせるレシピが多いのは、パン屋さんでの都合が大きく関わっています。
パン屋さんでは一度に大量の湯種を仕込むため、冷めるまで結構な時間がかかります。
冷めるまで待ってからミキシングするようでは、焼き上がり時間がとても遅くなってしまいます。
そのため、作るその日に湯種を仕込むようではかなり早い時間に出勤しなければなりません。
それなら前日に作って冷蔵庫に放り込んで、翌朝すぐ使える状況のほうが効率的ですよね?
そんなお店の都合を前提に作られたレシピがまず最初に出回って、それを参考にご家庭向けレシピも作られるため「一晩寝かせる」が名残として定着しているのです。
寝かせないで湯種を作ってもOK
湯種を一晩寝かせる理由は、前述のとおりお店都合の話です。
実際のところ湯種は冷めれば使えるので、お家で作るレベルの製造量なら一晩寝かせなくてもOKです。
先に湯種を作って、本捏ね材料の計量中に冷蔵庫(又は冷凍庫)に置いておけば、いざ本捏ねの時には十分冷えて使えるようになってるでしょう。

なるべく薄くして保冷剤などで挟み込めばすぐ冷えます
また、湯種は発酵しないので、清潔にさえすれば前々日に作っておくことも可能です。
さらに、実は冷凍もできます。
業務用製品で大量の冷凍湯種を販売するメーカーもあります。
冷凍湯種を作る際には、種の冷凍耐性を向上させるために少量の砂糖や塩を配合します。この場合、湯種に入れた分だけ本捏ねで加える砂糖・塩は減らすことになります。
湯種って意外と自由に使えるものなんです。
寝かせる時間でパンは変わる?
十分にα化された質の良い湯種なら、水和がかなり進んでいるのでそこまで大差無いです。
ですが、例外はあります。というか湯種を作っているほとんどの人が例外に当てはまりそうです。
それは、粉と熱湯をただ混ぜて作るだけの湯種の場合です。

それって普通じゃないの!?
確かにこれは広く普及している”普通の”作り方です。
ですが、粉と熱湯をただ混ぜ合わせるだけの簡易製法では十分にでんぷんがα化しないため、言ってしまえば未完成の湯種なんです。
本来の作り方は、ミキサーボウルの下にコンロを置いて、加熱しながら混ぜます。
こうすることで、湯種全体が均一に75℃以上まで上がり、より十分なα化をさせることが可能となります。
混ぜるだけだと(粉25℃+熱湯100℃)÷2=62.5℃がマックスですし、さらに混ぜてる間に室温の影響でも温度が下がってしまうので、全体に均一で完全なα化が進まないのです。
この場合、良質な湯種に比べて水和の進み具合も劣っているので、理論上は一晩寝かせるのと寝かせないのでは差が出てしまうことも十分考えられます。
ちなみにご家庭では電子レンジを使うことで本格的な湯種を簡単に作る事ができます。
電子レンジを使った湯種の作り方についてはこちらの記事をご覧ください。
まとめ
ここで学んだポイントをおさらいしましょう!
- 湯種は冷めれば使ってOK。
- 「一晩寝かせる」はお店の都合の名残。
- 簡易的な製法の湯種だと寝かせの有無で差が出る可能性もある。
意外と自由度の高い湯種法、あらゆる製パン法の中でも効果がわかりやすい製法ですが、でんぷんの仕組みを詳しく知ることでより重要なポイントがわかってきます。

でんぷんの仕組みを理解すれば、あなたも湯種マスターに近づける!?