イースト量と発酵時間はどう決める?パン作り初心者でもわかる目安とレシピ作成方法

イースト量と発酵時間の相関

自分でレシピを作りたいけど、イーストの量と発酵時間ってどう決めるの?

パン作りにある程度慣れてくると、自分のオリジナルレシピを作りたくなりませんか?

そんな時、イーストの量と発酵時間はどのように考えたらいいのか、誰しも疑問に思う事でしょう。

ナオキパン
ナオキパン

実は…イースト量と発酵時間の相関関係を知れば簡単に決められます!

この記事ではイースト量と発酵時間の相関関係について解説し、レシピ作りや調整で役に立つ考え方をご紹介します。

この記事を読む前に

この記事ではパンレシピの配合を「ベーカーズパーセント」という割合を用いて解説しています。

これは粉を100とした場合に他の材料をいくら使うかを表す方法です。

(例)「生イースト3.5%」…粉量100gの時に生イースト3.5g

粉量が200gの時に生イーストが3.5gだと、それは3.5%ではなく1.75%であり全く違う配合となります。

ベーカーズパーセントの考え方をまだ知らない方は先にこちらの動画をご覧ください。

生イーストの量と発酵時間の相関

生イースト

生イーストの使用量と最適な一次発酵時間の相関関係を表にしました。

生イースト(%)2.533.5
一次発酵(分)1209060
捏ね上げ温度27℃、発酵環境27℃/湿度75%を基準とする

生イースト3.5%配合の生地なら、一次発酵は60分。3%配合なら90分…という見方です。

生イースト0.5%の増加ごとに一次発酵の目安時間が30分短くなります。

実際には120分発酵は90P30だったり、90分発酵は60P30だったりとパンチ作業が中間に入ってくることが多いです。

もちろんレシピによってはこの限りではなく、同じ配合量でも発酵時間がより少ないものもありますが、それぞれレシピ作成者の意図があってのことなのでそれも間違いではありません。

ですが、まずは基本中の基本としてこの相関を自分の中の基準としてインプットしましょう。

レシピを自分で作る際はこれを基準に考えて、

「乳製品を多くしたい、それだと発酵が阻害されるから一次発酵は10分長くしようか?」

「いや、時間は長くしたくないからイースト量を少し増やそう!」

といった具合に思考してレシピを構築していきます。

※この相関の数値は基本の食パン配合におけるものです。異なる配合の生地においては数値が前後します。

インスタントドライイーストの場合は?

インスタントドライイースト

普段インスタントしか使わないんだけど、どうすれば?

この場合、先程の相関における生イースト量をインスタントイーストの量に換算する必要があります。

換算した結果がこちらの表になります。

インスタント(%)0.871.051.22
一次発酵(分)1209060
生イーストの×0.35で計算した場合

小数点以下第二位までの数値は煩わしいため、実際には0.8%・1%・1.2%といったキリの良い数値を使う場合が多いです。

※換算はあくまで目安であり、酵母菌は生き物なので実際の発酵速度は上下することがあります。

砂糖が多い生地の場合

あんぱん

先ほどの項目で提示した相関表はあくまで基本の食パン配合が基準です。

糖分量の多い菓子パン生地の場合、糖分の浸透圧により酵母菌の活性が阻害されるため相関表の数値が以下のように大きく変わります。

生イースト(%)33.54
一次発酵(分)1209060
捏ね上げ温度27℃、発酵環境27℃/湿度75%を基準とする

インスタントドライイーストの場合は以下のようになります。

インスタント(%)1.051.221.4
一次発酵(分)1209060
生イーストの×0.35で計算した場合

ただし、一つ注意点があります。

日本に出回る生イーストは基本的に耐糖性ですが、インスタントイーストには低糖生地用と多糖生地用があります。

この表は多糖生地用を使う場合の数値であり、低糖生地用のイーストを使う場合はイースト量を増やすか発酵時間をいくらか延長する必要があります。


砂糖の代わりにハチミツを使ってパンを作ることもあるでしょう。

はちみつ

多糖生地レシピで砂糖をハチミツに置き換えると、耐糖性イーストを使っていても発酵力が低下してしまいます。

この仕組みはパン作りに関するあらゆる本でも解説が見られない、いわば盲点です。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

レシピを作る時の考え方

自分でレシピを作る際は、自分が使いたい砂糖の量でどれくらい発酵が遅くなるかを考える必要があります。

基本的に砂糖を増やせば増やすほど浸透圧は高くなっていくので、その分だけ発酵力も低下すると考えて良いでしょう。

砂糖が発酵力に対してプラスに働くのは、使用量5%前後までと捉えるのが無難です。

参考までに、僕がイースト適正量を考える時の段取りを紹介します。

  1. 使う砂糖の量はどのくらい?
  2. どのくらい発酵させたい?(発酵風味と素材風味どちらを際立たせるか)
  3. 2で決めた発酵時間に該当するイースト量を相関表から調べる。

もし使いたい砂糖量が15%だった場合、基本の相関表と多糖生地用の相関表のちょうど中間近辺の数値で調整します。

もちろん難しいことは考えずとりあえず作ってみて、その結果を元に調整するのも良いでしょう。

ナオキパン
ナオキパン

迷ったらとりあえず作ってみよう!


どれぐらい発酵させたいか、それを決める基準は?

パンの風味は大きく分けて3つの要素があり、それらのパワーバランスによってパンの風味が変わってきます。

パンの香りを司る3要素

逆にいえばその3要素のバランスを先にイメージし、そこから逆算して配合を考えていくとイメージしたパンに最短で近づくことが出来ます。

その中でも比較的、素材香と発酵香は片方を際立たせれば片方が目立たなくなる「トレードオフ」な傾向にあります。

香りの良い副材料を使っているからその良さを最大限に活かしたい、そんな時はあえて発酵時間を短めに設定する選択肢が取れますし、いたってシンプルな素材で作る時は発酵風味をしっかり発生させて味わい深いパンにするのが良いでしょう。

その正解は一つではありません。

イースト量が多いレシピはパンがパサつく?

イーストが多いとパサつくって聞いたけど、少なければ少ないほど良いんじゃないの?

イーストが多いと発酵時間を短くする必要があるため、少ないパンよりも結果的にしっとり感が劣ってしまう傾向はあります。

しかし、イーストがパンのパサつきの原因になるわけではありません

科学的な観点からこの誤解をこちらの記事で解き明かしています。

何でもかんでもイーストを減らして作ると、求める食感が得られなかったりモノによってはクオリティが大幅に落ちてしまう場合もあります。

タイトルとURLをコピーしました