「ゴディパン」はGODIVAが展開する世界初のベーカリーブランドとして開店前から大きな話題を呼んでいました。
半年以上経った今でもその人気は未だに健在で、公式LINEで整理券を予約しないと購入が難しいのが現状です。
そんなゴディパンですが、ネット上の口コミの中には「美味しくない」「不味い」といったワードも見受けられます。
天下のGODIVAが美味しくないなんて、本当なの⁉
そんなゴディパンの定番5種を先日ようやく購入することが叶ったので、パン作り研究家として本気でレビューをしていきます。
はたして、忖度無しでおすすめできる絶品パンはあるのでしょうか?
ありそうでなかった⁉ GODIVAの本領を発揮した「コロネ(ショコラ)」
ゴディパンの中でも最も人気が高いのがチョココロネシリーズです。
現在(2024年3月時点)はショコラ・ストロベリー・抹茶の3種類が展開されており、中でもショコラはゴディパンの人気No.1商品とのこと。
まず目に留まるのがチョコクリームに付着する茶色い粒々。
一般的なベーカリーだとこの部分にはチョコチップやカラーチョコスプレーを付けるのが一般的なアプローチですが、そこはカカオのパイオニアGODIVAですから一味違います。
これは「カカオニブ」です。
カカオニブって何?
発酵したカカオ豆を砕いて外皮と胚芽を取り除きローストしたもの、それがカカオニブです。
カカオマスの原料であり、全てのチョコレートの原点とも言えます。
カカオの風味とほどよい苦味や酸味、加えてナッツのような風味と食感も特徴的です。
食物繊維やポリフェノールなどを豊富に含むスーパーフードです
このカカオニブがトッピングされているおかげで、一口目から食感の楽しさと大人な味わいが楽しめます。
そしてクリームの中にはチョコバーが隠されていました。
クリームも一般的なチョココロネで使われているチョコカスタードとは一味違い、生チョコやガナッシュのような濃厚さのあるしっとり固めのクリームです。
この質感のクリームだからこそ、豪快なチョコバーの食感にも負けない味わいが得られるのだと感じました。
「カリッ」「ボリッ」
色々な食感が楽しめて、絶妙な甘味と苦味のバランス、芳醇なカカオ風味…
GODIVAを名乗るにふさわしい文句なしの逸品でした。
ストロベリー味、抹茶味の方も生地とクリームは違えどダークチョコレートバーが同様に入っているようなので、同じようなクオリティであることが予測できます(個数制限のため今回は買えませんでした)。
価格は3種とも税込453円。
割ってビックリ‼ はじけるフルーティな香り「カカオフルーツのクリームパン」
このようなクリームパンを入手できるのは日本で、いや世界でここだけ⁉
そう言っても過言ではない、とても珍しいクリームパンです。
見た目はいたって普通のグローブ型クリームパンですが、中のクリームにはカカオの実の果肉「カカオフルーツ」が使用されています。
実はカカオの実ってフルーツなんです
切込みから割ってみると、冷めててもフルーティな香りがふわっと立ち上ります。
その味はまるでマンゴーのような濃厚さと、パイナップルのような明るい爽快感など、様々なフルーツの特徴を併せ持った不思議な風味。
強いて言うなら「ミックスフルーツ・オ・レ」みたいな印象です。
普通のクリームパンだと思って食べるとビックリしちゃうだろうし、変わった味があまり好きじゃない人には好まれないかもしれませんが、一般では入手困難なカカオフルーツを使ったパンはGODIVAだからこそ作れる特別な一品と言えます。
クリームの量があまり多くないのが残念なポイントですが、ここでしか味わえない逸品なのでゴディパンに来たら一度はトライしてみることをオススメします!
価格は税込378円。
ドストレートかつ王道「ベルギーチョコレートのクリームパン」
カカオニブのトッピングが施されたこちらのクリームパンは、ベルギーチョコレート使用のチョコカスタードが中に包まれています。
コロネに入っていた生チョコ的な質感のあるクリームと違い、こちらはより王道なチョコカスタードでした。
その食感はプルンとした軽い食感ではなく、ねっとり感のある重ための質感でした。
コーンスターチを使わず薄力粉のみで作ったカスタードかな?
重ための質感はチョコレートと相性が良く、より濃厚な印象を強調します。なのでこの食感のチョイスは正解だと思います。
ですが、先にコロネを食べたからなのか、こちらは比較するとチョコ感が弱く、クリームの量もそこまで多く入っていないので物足りない印象がありました。
誰でも食べられるオーソドックスなアイテムも品ぞろえの中には必要だとは思いますが、もう一工夫欲しいところでした。
価格は税込378円。
新たなマリアージュの可能性を開拓⁉ 「ショコラティエのカレーパン」
開店当初から話題を呼んでいた、チョコレートを使用したGODIVAのカレーパン。
恐らく球形の型に入れて焼かれたであろう真ん丸なフォルムに、ココア風味の薄い上掛け生地。
メロンパンのクッキー生地のような強い主張はしないけど、程よくパリっとした食感が楽しめる面白い仕掛けです。
パン生地はセミハード系で、恐らく砂糖と油脂がそれぞれ約2~3%程度と少量使われているような生地だと感じました。
フランスパンと食パンの中間のような生地だと思うなぁ…
カレーフィリングにはダイスカットのにんじんやひき肉の食感が目立ち、一般的なパン屋のカレーパンに入っている「クリームのようなカレー」ではなく、キーマカレーっぽい質感に感じました。
それと一緒に包まれたカカオ55%のチョコレート。隠し味の域を超えて、結構ガッツリ入っています。
カレーの風味とカカオの風味が融合し、しっかりとビターな後味が感じられます。
これは、かなり好き嫌い分かれる一品だと思いました。
厳しく言えば「美味しくない」「不味い」といった声が一部から上がるのも無理はないかもしれません。
そもそも、カレーとチョコって合うの?
相性自体は悪くないです。カレーの隠し味にチョコレートを使う技は一般的です。
しかし、カレーに苦味を求める人は少ないと思うので、ここまでしっかりビター感があるとビックリしちゃう人が多そうです。
残念な点を挙げるなら、カレーフィリング自体の風味はわりと一般的であったこと。
そのせいか、チョコレートとカレーが別々に感じられて、ちゃんと一つの味として融合されていない印象でした。
ここまでチョコ感を主張するのであれば、フィリングに使うスパイスにシナモンやカルダモン、クローブといった甘い芳香のものを多めに使うなどして、もっとカカオ風味と融合できるカレーにしてほしいなと思いました。
フィリングの量もそこまで多くなく、セミハード系の生地であるが故に歯切れも悪いため食べやすさの面でもマイナス。
カレーとカカオに新たな可能性を見出す挑戦的な一品ではありますが、伸びしろがまだあるように思います。
脇役としての才能を開花させた「あん・ドゥ・ショコラ」
あんこに隠し味としてシナモンを微量くわえて味をグレードアップさせる方法なら知っていましたが、チョコレートをあんこに混ぜ合わせるのは初めて見ました。
このあんぱんには固形のチョコは入っておらず、あんこに完全に練り込まれているようです。
普通のあんこはただ甘いだけなので、何個も食べたら絶対に途中で飽きます。
しかし、カカオ55%のダークチョコレートが練り込まれたこのあんこには程よいビター感も含まれており、むしろ食べやすくなる進化を遂げています。
あんこ特有の風味を消すことなく、チョコはあくまで脇役。
見た目よりはちゃんとあんこが入っています。
黒い粒々はポピーシード(ケシの実)です。あんぱん定番のトッピングですね。
日本のあんぱんの歴史に新たな可能性の風穴を開けたとも言えるゴディパンのあんぱん、ぜひ一度食べてみてください!
総評:パン作り研究家がオススメするゴディパンのNo.1は?
今回試食した5種類の中から一番を選ぶなら、間違いなくダントツ一位は「コロネ(ショコラ)」です。
人気No.1商品になるのも頷ける完成度の高い逸品で、もう一度食べたいと思いました。
現状1人5個までという個数制限があるため変えなかったのですが、他のコロネシリーズでストロベリーと抹茶も同じ水準のクオリティであることが考えられるので、3色全て買うのが良いかもしれません。
次に、遠方から買いに来るなら「カカオフルーツのクリームパン」にもトライしてみてはいかがでしょうか?
せっかく来たならここでしか買えないパンをチョイスしたいですからね。
チャレンジャーならカレーパン、あまり冒険したくはないけどGODIVAの新提案を体感したいならあんぱんを選ぶのが良いでしょう。