パン作りのレシピで使われるバターのほとんどは無塩バター。
ですが、有塩バターの方が少し安いし入手もしやすいですよね。
今回は無塩バターの代わりに有塩バターでパンを作る方法と、焼きあがるパンや生地の違いについて解説します。
有塩バターで代用する際の注意点
有塩バターには食塩が1.5%前後含まれています。
パン作りにおいて塩は欠かせない存在ではありますが、発酵速度を抑える作用もあるため、多く入れ過ぎてしまうのは良くありません。
そして、微量の誤差でも影響が大きく出ます。
なので無塩バターから有塩バターに置き換えた際に、生地の塩分量が過剰になってしまう点について注意する必要があります。
では、どうすればいいのか?代用方法について解説します。
無塩バターから有塩バターへの置き換え方法
やり方は簡単です。
有塩バターに含まれる塩分量を計算して、その分の食塩量を減らすだけ。
実際のレシピを例に見ていきましょう。
食塩4g、無塩バター20gというレシピの場合。
この20gを有塩バター(塩分含有量1.5%)に置き換えると…
20g×0.015=0.3g
20g中に塩分が0.3g含まれていることになります。
そのまま使ってしまうとレシピよりも0.3g多く塩が入ることになります。
なので、食塩の量を調整します。
4g-0.3g=3.7g
こうすることで、食塩3.7g+バター内塩分0.3gで、実質の塩分量が4gと同じになります。
「バター成分は無塩だと20gなのに、有塩は19.7gということになるよね?それは平気なの?」
とお気づきの方もいるかもしれません。
塩の量は微量でも影響が大きいので調整しましたが、油脂の量はこの程度ならなんて事ありませんので細かく調整する必要はありません。
無塩と有塩で生地の違いは?
先述のように塩分量調整をしても、無塩バターでのパン作りとは決して同じにならない部分があります。
それは、有塩バター内に含まれる塩分は「後入れ」になることです。
「食塩2g+無塩バター20g」なら食塩を最初から生地に加えて、ある程度生地がまとまったらバターを加えますよね。
一方で「食塩1.7g+有塩バター20g(内、塩分0.3g)」だと、バター内塩分だけバターと一緒に後入れになります。
フランスパンなどハード系のパン作りでは「後塩法」という、塩を最初から加えず後入れする製法があります。
わざわざ製法として確立されているくらいなので、塩を後入れすると生地に違いが生まれるわけです。
後塩法の効果
塩を後入れすることで
- 生地の伸展性が向上する
- 塩による発酵力低下の影響が若干少なくなる
- ミキシング時間の短縮
といった効果が得られます。
ハード系で主に採用される製法ですが、ミキシング時間の短縮効果は手ごねパン作りにおいても有効活用できますので、ソフト系のパンで使っても良いでしょう。
実際、どれくらいの違いがあるのか?
無塩バターを使用した通常のレシピと、有塩バターで代用&調整したレシピで実際に作り比べてみました。
こちらの動画で検証の結果を解説しているのでぜひご覧ください。
www.youtube.com
まとめ
無塩バターから有塩バターへの置き換え計算をマスターすると、パンレシピのアレンジにおける様々な計算も出来るようになるでしょう。
有塩バターはもちろん、マーガリンでの代用も同じ計算方法で出来るため、より安く作りたい方はぜひトライしてみてください!