一次発酵の後に捏ね直しても大丈夫ですか?
といった質問をよく見かけます。
基本的には一次発酵後に再び捏ね直すのはNGです。
発酵まで完了した生地を再度捏ねると「オーバーミキシング」の状態になりやすいからです。
ですが、これはあくまで「一次発酵前までに、何の不具合もなく十分なこね具合にまで仕上げた場合」に限ります。一部例外で捏ね直してもOKなパターンもあります。
この記事では、一次発酵後に捏ね直しても良いパターンと、似た状況だけどNGなパターンをそれぞれ解説します。
読者・視聴者様の声
イーストの入れ忘れに気付いたけど、上手く対処できました!
大事なポイントがわかったので、今後ミスしても落ち着いて対処できそう!
捏ね直しOKなパターン
イーストを入れ忘れて膨らまなかった
やばい…イースト入れ忘れてた!
一次発酵で全く膨らんでこない状況を目の当たりにしてようやくイーストの入れ忘れに気付くこと、稀にあるかと思います。
この場合はイーストを加えて捏ね直し、再度発酵させる必要があります。
とはいえどんな生地でも捏ね直しOKかと言うと、そうではありません。
作っている生地の種類によってはオーバーミキシングの恐れがあるため捏ね直しが出来ない場合もあります。
どんな生地ならイースト後入れで捏ね直してもOKなのかについてはコチラの記事で詳しく解説していますので併せてご覧ください。
生地が硬すぎて膨らまなかった
ミキシング中にベタつきが気になるからという理由で、手粉を大量に加えて硬い生地に捏ね上がってしまう。
初心者だとこのようなパターンも多く見かけます。
生地が硬すぎたせいで膨らみが著しく悪かった場合、水を加えて再度捏ね直してもOKである可能性は高いです。
というのも、このような失敗をしているということは手ごねのやり方自体があまり上手ではないはずだからです。
であればこね具合も不十分である可能性が高いです。
(それこそ膨らみが悪くなるほどの硬い生地であれば、手ごねが上手な人でも十分なこね具合に仕上げるのは不可能に近いです。)
でも若干は膨らみ始めているのに捏ね直して大丈夫なの?
「100%中種法」と同じ理屈で考えればイケる可能性も十分あります!
「こね不足で硬い生地を発酵させた後に、別の材料を加えて捏ね直す」
これ、やってることは「100%中種法」と大差ないため、列記とした製法の一種とも言えます。
もし中種のこね具合がマックスだと捏ね直しでオーバーミキシングになってしまいますが、ほとんど捏ねていないためオーバーせず問題なく作れるのがこの製法です。
膨らみが悪くなるほどの硬すぎる生地、手ごねでそんな生地は十分には捏ねられない…
それなら捏ね直してもオーバーになる確率は低いはず。
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ですが、そもそもミキシングで手粉を加えること自体が間違った捏ね方であることも事実です。
パン生地の捏ね始めはベタベタするのが基本です。それを捏ねられないと感じるのであれば確実に捏ね方が悪いので、まずはコチラの記事で正しい捏ね方をしっかり学ぶことをおすすめします。
捏ね直しNGなパターン
十分なこね具合だけど、イースト粒が溶け残った
こね具合はマックスまでもってきたけど、そのあとにイースト粒の溶け残りに気付いた!
この場合、たとえ発酵前でも発酵後でも捏ね直しはNGです。
というか、イースト粒の溶け残りは捏ね直しても修正することはほぼ不可能です。恐らく生地中の油脂分がイースト粒に油膜を張ってしまい、粒が水に溶けない状態になっています。
業務用の縦型ミキサーの場合でも生地の中でイースト粒が残ってしまうと溶け残りは消えません。
イースト粒が溶け残った時の対処法
対処法は「無い」です。
なのでその生地で美味しいパンを完成させるのは諦めるしかありません。
イースト粒が溶け残っていても、ある程度は酵母菌が生地内に分散していますから膨らないことはないでしょう。
しかし通常より膨らみが悪いのはもちろん、イースト臭とイースト味をダイレクトに感じられるパンになってしまうことは避けられません。
ですが、ただ捨てるのも勿体ないですよね。
捨てずに再利用できる苦肉の策を考えるとすれば…
例えば生地を冷蔵でとっておいて、次にパンを作るときに「老麺」として粉に対して10%程度だけ材料として一緒に練り込む手もあります。
この時、使う仕込み水にあらかじめ老麺を可能な限り溶かしておいた方が、イースト粒の溶け残りも減らせるでしょう。
(あくまで最終手段です。)
まとめ
ここで学んだポイントをおさらいしましょう!
- オーバーミキシングになり得る場合は捏ね直しは難しい
- イースト入れ忘れでも、生地の種類によっては後から加えて捏ね直すことも可能
- こね具合が未熟であれば「100%中種法」の原理で捏ね直すことも可能な場合もある
- イースト粒の溶け残りをリカバリーすることは難しい
捏ね直しはあくまで最終手段なので、普段からなるべくミスをしないように工夫をしたり、基本のテクニックをしっかり身に着けておくことが何よりも大事です。
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