生地がベタベタで捏ねられない(泣)
丸めや成型で手にベタついて生地が汚くなっちゃう(困)
生地のベタベタに困っていませんか?
「ベタつくなら粉を追加すればいいでしょ!」と安易な対処をすると、美味しくないパンが出来る恐れがあります。
この記事では、パン作りで生地がベタベタする原因や正しい対処法について、様々な状況別にプロの視点で解説します。
捏ねている最中にベタつく場合
レシピ通り計量したのに、捏ね始めたらベッタベタ!
そんな状況を良くないことだと思ってしまう方も多いようですが、捏ね始めはベタつくのが普通です。
元から水分少なめで作るベーグル生地なら最初からベタつきがほぼ無いですが、それはあくまで例外です。
基本的にパン生地は捏ね始めはベタベタで、捏ね進めるうちに弾力が増してまとまってくるものです
むしろそれくらい水分を入れないとパサパサで膨らみも悪いパンになってしまいます(ベタつき加減の目安はパンの種類によって変わりますが)。
なので、「諦めずにそのまま捏ね進める」これが最善策です。
「生地がベタつく時は手粉を加えましょう」の落とし穴
そんな指示があるレシピもよく見かけるけど、実は…
手粉というのはあくまで既に完成した生地をベチャっと傷めてしまわないために使う物です。
生地の中に練り込むことが目的ではありません。
ミキシングの最中に手粉を加えると、粉は全て生地の中に練り込まれてしまいます。これだと配合量を増やしているのと同じです。
粉が増えれば相対的にその他の材料の割合が減るので、レシピの想定とは異なるパンが出来てしまいます。
結果的に吸水不足となり、パサパサで膨らみの悪いパンになってしまうのです。
そうはいっても、ベタベタじゃ捏ねられないじゃん!
そう思うのであれば、それは正しい捏ね方が出来ていないだけかもしれません。
手ごねには正しいやり方というのがあって、それが出来ていればたとえ最初はベタベタでも、プリップリの艶やかな生地に捏ね上げる事が出来るからです。
そしてグルテン膜のチェックではこんなに薄く滑らかな膜が出来るものです。
今までのパン作りでこのような膜が見られなかったのであれば、ミキシング中に手粉を加えるのは一旦やめて捏ね方から見直すべきです。
コチラの記事で正しい捏ね方を詳しく解説しています。
マスターすればパン屋レベルのパンだって作れちゃいますよ!
こね台が良くないと正しい捏ね方をするのは難しい
正しい捏ね方を行うには、安定感のある良いこね台を使うことが必須です。
こね台として謳われている商品はたくさんありますが、正直その多くはこね台としての役割を十分に満たせていません。
そんな当たり外れの多いこね台ですが、僕が自信を持っておすすめできるこね台が一つあります。
それは「まーぶるめん台」です。
今までシリコンマット、木製ペストリーボードなど数々のこね台・こねマットを試してきましたが、まーぶるめん台ほど長く使えて使いやすいこね台は他に出会ったことがありません。
キッチンの作業台が丈夫でツルツル平らな天板ならそこで直に捏ねればいいのですが、集合住宅などで凸凹のあるステンレス天板が使われているお家だと良質なこね台が必要になってきます。
吸水不足だとどうなる?
水を必要以上に減らして作ったり、粉を加えて相対的に生地の水分が不足すると、硬く伸びが悪い生地になります。
伸びの悪い生地になることで…
- 発酵中の膨らみが遅い
- 生地の柔軟性が悪く成型しづらい
- フィリングがあふれる
- 窯伸びが悪くボリュームダウン
- 食感がパサパサになる
など、多くの弊害があります。
こうなると発酵時間などをレシピ通りにやっても上手くいかないので、様々な工程で大幅な調整が必要となるのですが、それは非常に難易度の高いことです。
油脂を加えたら生地がまとまらない…
油脂は生地の骨格の形成を阻害する効果があります。
そのため適切なタイミングで加えないと、生地がまとまるまでにかなりの時間を要することになる場合があります。
一般的にはある程度捏ね進めて生地が7割ほど完成した段階で加えるのがセオリーとされています。
ミキシングの4段階の内、第二段階と第三段階の中間くらいで加えるのが最も失敗の少ない目安タイミングと言えるでしょう。
早すぎると形成が遅れ、遅すぎると弱い粉で作っている場合にオーバーミキシングに突入する恐れがあります。
ですが、加えるタイミングが正解なのに油脂を加えた途端に生地がベッタベタになる場合もあります。
- 油脂量が多いレシピ
- グルテン量が少ない弱い粉を使っている
- 卵を使用していてベタつきが強い生地
このようなレシピだと、油脂を入れる前は生地のまとまりが良かったのに、加えてから悪くなるように感じることがあります。
その場合は、時々こね台や手にこびりついた生地をカードでそぎ落としてみてください(そぎ落としたカスは生地に練り込みます)。
その間、生地は数秒休むことになりますが、程よい休みを入れることで生地の結合が促されて、再び捏ねた際に状態が急に良くなるタイミングがあります。
一回で諦めず、何回か繰り返しやってみてください。それだけでもかなり生地は変わります。
分割丸め・成型作業でベタつく場合
この場合はミキシング中のベタつきとは異なり、手粉を上手く使う必要があります。
特に基本的な食パン生地は十分な吸水で作ると、たとえ十分なこね具合であっても少しベタつきが残るものです。
無理に手粉を使わず作業をすると、作業台に生地がこびりついたり生地表面が荒れてしまい出来上がりの見栄えが悪化します。
とはいえ手粉も使い方を誤ると多くのデメリットがあります。
ここからは手粉の上手な使い方について解説します。
手粉に使う粉は?
手粉には強力粉を使用しましょう。
準強力粉や薄力粉だけで作った生地を扱う場合も、手粉は同様に強力粉を使います。
薄力粉は粒子が細かすぎて粉同士が集まって分散しずらいのですが、強力粉は作業台にファサっと均一に広がってくれます。
そのため手粉として圧倒的に使いやすいのです。
手粉はどのくらいの量を使えばいい?
手粉のベストな使用量は、扱う生地の状態によって様々です。
バターロール生地や菓子パン生地などで、作業性重視の配合だと手粉が必要ないこともあります。
手粉が必要ない生地で手粉を使ってしまうと、丸め作業では生地が空滑りしてうまく丸められなかったり、成型作業ではフィリングを包む際にとじ目がうまく閉まらない場合もあります。
なので、生地の状態に合わせて必要最低限の使用量にとどめるよう意識することが重要です。
経験を重ねればおのずとやりやすい手粉の量が見つかるはずです
まとめ
ここで学んだポイントをおさらいしましょう!
- ベタつくからといってミキシングで粉を加えるのはNG
- ベタついて捏ねられないのは、捏ね方が間違っているかこね台が良くないか
- 十分なこね具合でもベタつきが残る生地もあるので、分割丸めや成型では手粉を適量使う
- 手粉には強力粉を使う
手粉の正しい使い方をマスターして、ワンランク上のパンを作れるようになりましょう!