炭酸水でパンを作るとふわふわになる?実際にやってみたら衝撃の結果が!

炭酸水でパン

「炭酸水でパンを作ると簡単にふっくらしたパンが焼ける」って本当??

「パン作りで炭酸水を使うとパンがふっくらする」と主張しているサイトによると、

「パンが膨らむのは酵母菌が発する二酸化炭素によるものだから、同じく二酸化炭素がシュワシュワと出てくる炭酸水を使えばパンがよく膨らむ」

とのことですが、これは果たして本当なのでしょうか?

この記事では、炭酸水でパン作りをすることで得られる効果の真偽について、実際の検証結果を交えて解説します。

水道水と炭酸水で比較実験

今回は基本的な食パン生地の配合を使って、

  • 水道水
  • ソーダメーカーで炭酸水に変えた水道水

これらを比較してみました。

市販の炭酸水を使うと、水道水と硬度やミネラル分が微妙に差がある可能性があり、検証で現れたパンの違いが本当に炭酸の有無によるものなのか判定が難しくなります。

そのため水道水をソーダメーカーで炭酸水にして実験に使用しました。これで両者の違いは炭酸の有無だけになり、パンに違いが現れればそれは炭酸の有無が原因であると言えることになります。

生地感の違い

早速生地を作ってみたところ、ミキシングの時点で既にデメリットとしての違いが現れました。

捏ね始めはどんな生地でも基本的にはベチョベチョで千切れやすいものですが、捏ね進めて3~4分ほどで生地がある程度まとまってきて、6分後にはそれなりの弾力が出てくるものです。

しかし炭酸水で作った生地は

ナオキパン
ナオキパン

そろそろまとまってくるはずなんだけど…

と普段なら感じるタイミングでもなかなかまとまりが出てきません。

通常より約2分長く捏ねたところで、ようやく生地にまとまりがでてきました。

どうやら炭酸水でパン生地を作ると捏ね時間が長く必要となるようです。

その理由については後ほど記述します。

水のパンと炭酸水のパン、何が違う?

炭酸水で作ったからといって、パンがふっくら大きくなることはありませんでした。

そして、味も食感もわかるほどの違いは感じられません。

唯一見てわかる違いは内相のキメです。

普通の水で作ったものはいつも通りのキメ細かさ、それに比べて炭酸水の方がキメが粗かったのです!

「パン作りの水を炭酸水に変えるだけでパンがふっくらする」という情報からはふっくらきめ細かく焼きあがりそうなイメージが想起されますが、全然そんなことなかったということです。

ミキシングでの生地の完成が遅れたことといい、焼き上がりのボリュームは同じくらいなのにキメが粗いことといい、このような違いが現れた原因は何なのでしょう?

考察も交えつつ解説していきます。

ポイントは「pH」

今回の検証でポイントとなってくるのが水のpHペーハーです。

「パン作りに最適なのは弱酸性」というのは聞いたことがある方も多いでしょう。

なぜ弱酸性が最適なのかというと、理由は二つあります。

  • 酵母菌の活動がより活発になる。
  • 生地のグルテンが程よく締まる。

酵母菌の活性がpHで変わるのはよく知られていますが、生地感にも影響を与えることはご存じない方もいるのではないでしょうか?

グルテンはpHが酸性に傾くほど締まり、アルカリ性に傾くほど緩む特性があります。

しかし、酸性に傾きすぎると柔軟性が失われて全く伸びなくなり、ブチブチと千切れてまるで溶けたような質感になります。

アルカリ性に傾きすぎると弾性が失われて保形性が無くなり、文字通り溶けてしまいます。

じゃあ、具体的にどのくらいのpHが良いの?

製パンに向く弱酸性pHは約5.2~5.6です。。

炭酸水のpH

水道水は基本的には中性ですが、今回使った炭酸水のpHは4.5でした。

最適なpHに比べたらちょっと低いですね。

なぜミキシングに時間がかかった?

ここからは考察を交えて解説しますが、炭酸水はpHがほんの少し低過ぎたことが原因かと思われます。

低すぎるpHによってグルテンの柔軟性が失われ、伸びが悪くなったことで生地の完成も遅れた。このように考えられます。

グルテンの柔軟性が低いことでミキシング時間が長く必要になるパターンは、pHの他にも生地温度も挙げられます。
生地が冷たいとグルテンが締まり、体感的にはベタつき感覚が少ないため捏ねやすいですが柔軟性が低下しており生地の完成は遅れます。

炭酸水の正しい活用方法

今回の検証結果から、パン作りに使う仕込み水の全てを炭酸水に変えても決してふっくら感が向上するわけではないということがわかりました。

むしろ、pHの点から見てもあまり得策ではなかったと言えます。

ですが、水道水と炭酸水を上手くブレンドして弱酸性になるよう調整すれば、水道水よりもボリューミーでふんわりしたパンが焼けるということになります。

実際、炭酸水を5%配合して食パンを作るお店もあります。

気になる方はぜひ試してみてください!

まとめ

ここで学んだポイントをおさらいしましょう!

  • 仕込み水を全て炭酸水に置き換えても、パンが良くなるわけではない。
  • パン作りに最適なpHは弱酸性(5.2~5.6)。
  • 水道水と炭酸水をブレンドして弱酸性に調整すれば、好ましい結果が得られる。

水がパン作りで重要な存在であることがおわかりいただけましたか?

自家製酵母でのパン作りでは、特にpHの管理が重要となってくるため、ワンランク上のパン作りをするには欠かせない知識です。しっかりと頭に入れておきましょう!

この記事を書いた人
パン作り研究家
ナオキパン

当サイト及びYoutubeチャンネル「パン作りの教科書 / ナオキパンchannel」を運営。
パン作りのコツや製パン理論を科学的な観点からわかりやすく解説し、パン作り上達の楽しさを広めることに加え、正確な製パン情報の普及に努める。
ベーカリーや食パン専門店など数々のパン店立ち上げや現場責任者の経験有。
自律神経失調症によりパン業界を一時離脱した際に、自身の知識と経験が誰かの役に立つことを願い、2022年5月から本格的に情報発信活動を開始(現在は寛解しゆる~く復帰)。
パンシェルジュ一級。

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