無塩パン・減塩パンを美味しく作るコツと裏ワザ

無塩パン・減塩パン 美味しい作り方

塩分を控えたいから減塩パンを作ったけど、あんまり美味しくない…

無塩パンを美味しくする方法ってないの?

この記事では、無塩パンや減塩パンを美味しく作るためのコツやレシピ調整方法を解説します。

無塩・減塩によって現れるデメリット

塩はパン作りで様々な役割を担っているため、減塩・無塩にすることで以下のようなデメリットが現れます。

  • 発酵が早くなる
  • ガス保持力が低下する
  • 焼き色が薄くなり香ばしさが減る
  • 味がぼやけて美味しくなくなる

無塩・減塩パンを美味しく作るためには、これらのデメリットを補う手段を採用する必要があります。

それぞれ詳しく見ていきましょう!

上手に作るコツ

発酵時間を短くする

一次発酵

塩を減らすと発酵抑制機能も低下するため、発酵速度が早くなってしまいます。

塩有りのレシピを使って減塩アレンジして作る場合、発酵時間は少し短くしましょう。

甘味の減少過多を防ぐだけでなく、焼き色が薄くなるのをある程度防ぐことが出来ます。

ビタミンC入りのイーストを使う

インスタントドライイースト

塩は天然の製パン改良剤とも呼ばれ、グルテンの引き締め効果があります。

減塩アレンジすると引き締め効果が無くなり、ベタつきの増加やガス保持力低下など様々な悪影響があります。

そのデメリットを軽減できるのがビタミンC入りのイーストです。

ビタミンCは「酸化剤」という製パン改良剤の一種で、グルテン酸化を促進して生地のグルテン組織をより強固なものとすることが出来ます。

それによりベタつきもガス保持力もある程度の改善が期待できます。

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赤と金、どっちを選べば良いの?

ナオキパン
ナオキパン

低糖生地には赤サフを、多糖生地には金サフを使おう。

弱酸性になるよう調整する

炭酸水

パン生地は弱酸性にすることでグルテンが程よく引き締まり、ガス保持力が向上します。

マヨネーズ、炭酸水、酢、レモン汁などの酸性材料を少量使うことで、減塩アレンジによるガス保持力低下をある程度補うことが出来ます。

ナオキパン
ナオキパン

入れすぎて酸性に傾き過ぎないよう注意!

ただし弱酸性にすることで酵母菌の活性も高まってしまうため、発酵時間を更に短くしたりイーストを減らすなどして過発酵対策をとる必要があります。

焼き色を濃くする材料を加える

焼き色を濃くする効果のある材料はいくつかあります。

  • 脱脂粉乳
  • 牛乳
  • ヨーグルト
  • 卵黄
  • はちみつ

etc…

この中で特に使いやすくオススメなのは脱脂粉乳です。

脱脂粉乳には「乳糖」という酵母菌が消化できない糖分が含まれており、減塩アレンジの生地でも最後まで糖分を残すことが出来、焼き色の向上に繋がります。

ナオキパン
ナオキパン

ヨーグルトも焼き色が濃くなるけど、その原理はとても面白いですよ…!

ワンランク上の味に作る

塩が普通に入っているパンの味に慣れていると、無塩や減塩のパンの味に大きな違和感を覚えてしまいます。

それは舌先で触れた瞬間にもわかるほど、パンにおける塩味はとても重要です。

無塩・減塩パンを普通に作るよりも少しでも美味しくするにはどうしたらいいでしょうか?

熟成の深い発酵種を使う

自家製酵母で作られたパンは、イーストのみで膨らませるパンに比べて旨味が強いと言われています。

発酵力が弱い酵母で生地を膨らませようとするとどうしても長時間の発酵が必要になるのですが、結果として生地の「熟成」が進むため旨味や甘味が濃くなります。

熟成ってどんな作用?

ナオキパン
ナオキパン

製パンでは主に酵素分解による味の変化を指します。

小麦粉にはいくつかの酵素が含まれており、でんぷん分解酵素が粉のでんぷんを麦芽糖に分解して甘味が増えたり、タンパク質分解酵素が粉のたんぱく質をアミノ酸に分解して旨味が増えたりします。

特に粉から種起こしをするサワー種などは、発酵種自体に旨味成分が多く含まれている傾向にあるため、イーストと併用して「発酵風味料」的な捉え方で配合してもそれなりの効果が得られます。

単調な味わいになりがちな無塩パンや減塩パンには、自家製酵母を配合して自然な旨味を演出しましょう。

自家製酵母を作るのは失敗が怖い…

ナオキパン
ナオキパン

誰でも失敗なく作れる「ホシノ天然酵母」がオススメです!

ホシノ天然酵母には「麹菌」と「酵母菌」が入っているので、説明書通りに作れば確実に良い発酵種が出来上がります。

麹菌の強い熟成力によって濃い旨味と発酵風味が生まれるため、正直サワー種などを自分で起こしてパンを作るよりも旨味の濃いパンが出来ます。

イーストと併用して調味料として数%加えるだけでも効果を発揮できるので、ナオキパン一押しの材料です!

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ホシノ 天然酵母パン種/50g×5

ナオキパン
ナオキパン

僕も小分けパックには大変お世話になっています!

旨味を加える

発酵種の旨味を活用するには、種起こしの手間がかかるため決してお手軽とは言えません。

それ以外にも旨味成分が含まれている食材はいくつもあるので、そういったものを活用するのも一つの手です。

ただし、出汁を活用するにしても旨味のある食材を使うにしても、その独特の風味も一緒に付与することになりますから、粉本来の香りを存分に活かしたいという場合には不適かもしれません。

そんな時は「味の素」のうま味調味料を使ってみるのも一つの手です。

うま味調味料って体に悪いんじゃないの?

ナオキパン
ナオキパン

実はそれ、ガセ情報であることが既に証明されているんです。

わかりやすく言うと、「体に悪い」と言われる原因となった元ネタ「中華料理症候群」は、間違った実験方法による結果をそのまま鵜呑みにしたことによる誤解だったのです。

後に正しい実験方法によって「中華料理症候群」とうま味調味料の間に関連性が無いことと、原因は他であると科学的に証明されています(刺激性の強いソフトドリンクや劣化した油など)。

どんな実験が行われていたのかなど、詳しい情報は右下の参照リンクをご覧ください。

参照:Wikipedia

「うま味調味料を使うと気持ち悪くなる」と主張する人もいますが、その原因の多くは「うま味調味料=体に悪そう」という情報が事前に脳内に刷り込まれていることによるノセボ効果である可能性が高いです(プラシーボ効果の逆)。
これを改善するには「うま味調味料=害はない」と脳に納得してもらうために、正しい科学的根拠を徹底的に勉強する他ありません。

ナオキパン
ナオキパン

僕にもノセボ効果でパンが食べられなくなった時期があります。

食べ方の工夫次第でいくらでも美味しくなる!

ここまで紹介したコツを全く行わずとも、無塩パンを上手に作ること自体は可能です。

味の工夫は無くても、パンの食べ方を工夫すれば無塩パン・減塩パンでも美味しく食べることができます。

詳しくはコチラの記事をご覧ください。

まとめ

ここで学んだポイントをおさらいしましょう!

  • 発酵が進みすぎないよう注意する
  • グルテン酸化促進やpH調整で強い生地を作って生地感を補う
  • メイラード反応を促進させる材料を使って焼き色を補う
  • 旨味を活用して味のバランスを補う

レシピのアレンジをする際は、一か所を変えると他を調整する必要が出てくるためある程度の知識が必要です。

当サイトでは塩がパン作りにもたらす影響をはじめ様々な知識を提供しているので、ぜひ色々ご覧になってください。

この記事を書いた人
パン作り研究家
ナオキパン

当サイト及びYoutubeチャンネル「パン作りの教科書 / ナオキパンchannel」を運営。
パン作りのコツや製パン理論を科学的な観点からわかりやすく解説し、パン作り上達の楽しさを広めることに加え、正確な製パン情報の普及に努める。
ベーカリーや食パン専門店など数々のパン店立ち上げや現場責任者の経験有。
自律神経失調症によりパン業界を一時離脱した際に、自身の知識と経験が誰かの役に立つことを願い、2022年5月から本格的に情報発信活動を開始(現在は寛解しゆる~く復帰)。
パンシェルジュ一級。

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